昔、百済(くだら)の国から仏教伝来と同時期に、日本の地に伝えられた瓦。長年の風雪に耐え、少しずつ、しかし着実に日本の風土になじんできました。先人達の創意工夫により現在の形になり、現代の建築様式の変化とともに要求されてきた陶器瓦の艶やかな色合いは、四季折々の自然と暮らしに見事なまでに調和しています。日本瓦は、私たち日本人の心を、止め処ない郷愁の想いに誘ってくれるようです。


日本瓦について

その機能と風格

瓦が日本に伝わった当初は、寺社仏閣を中心に使用されていましたが、戦後、洋風住宅の普及とともに一般住宅へ広がりました。
瓦屋根は、茅葺〔かやぶき〕や板葺の屋根に比べ、雨を防ぐことに長けていまし、また防火・耐熱の効果もあります。
瓦を使用する文化は、日本だけではありませんが、日本は台風が多いので、風で飛ばないよう中国やその他の国よりも重い瓦が使用されているようです。
現在では、洋風住宅の屋根においては桟瓦〔さんがわら〕葺きが主流ですが、伝統的な和風住宅には本瓦葺きを使います。本瓦葺きの屋根は、重量感があり非常に見栄えがよく、格段に存在感があります。江戸時代の商人たちは、住宅に寺社仏閣に使われているような立派な瓦を使って財力を誇示しました。
瓦の耐久年数は非常に長く、東大寺法華堂では、1200年前に製造された瓦が今なお使用されています。


日本瓦は、環境に優しい素材

耐久性・耐寒性に優れた瓦。塗り替えの必要もなくとても経済的。

※断熱性
屋根材の断熱性能の良し悪しによって、冷暖房費にも差がでてきます。瓦屋根は、夏の直射日光を反射して熱を吸収せず、冬の室内暖房も外へ逃がさない、遮断性に優れた住まいが実現します。

※通気性
住まいを長生きさせるためには、屋根の通気性が大切です。瓦は形と施行により、適度な通気ができるので、室内空気の換気や結露防止にも万全な屋根材です。

※耐寒性
−20℃の超低温による、20回以上の凍結融解操作にも、瓦はまったく異常を示さず、優れた耐寒性を立証しました。北海道・東北といった寒冷地にも、屋根瓦が普及しつつあります。

※遮音性
どっしりと下瓦屋根材は遮音性能にも優れ、雨音を室内に伝えることもなく、空港地域にも対応できる静かさです。